縁起のよい植物・南天、ナンテン
縁起のよい植物・南天、ナンテン
晴れた冬枯れの庭に南天の赤い実が濃い緑色の葉の上で
陽を浴びて輝いている様子はとても美しいものです。
これで雪が降れば、赤い実や葉の上に積もり、
もっと風情もあるかもしれませんね。
ところが、ネットをかけなかったものですから、
赤い実がチラホラとあるだけで、何とも寂しい限りです。
語呂合わせで、「難を転じる縁起のよい植物」とされ、
まさに、正月にはふさわしいといえます。
南天は高さ3mほどにもなる常緑の低木ですが、
茎が株元から何本も出てくるため、あまり太くはなりません。
5~6月ごろ、枝先に多数の白い花をつけますが、
直径6~7㎜ほどで、あまり見栄えがいいとは
いえませんが、晩秋には赤い実を熟すわけです。
南天の実には、赤と白があり、その果実を「南天実」といい、
咳止めに用いられます。
その有効成分は、比較的強い毒性を持つアルカロイドですから、
発作時に対症療法的に使うお薬であって、予防薬ではありません。
お料理屋さんでお刺身などに南天の葉を添えたものが出される
のを目にしますが、これを目にして研究した学者が抗アレルギ
ー成分を分離して、その成分の構造を参考にして合成された
抗アレルギー薬がトラニラストというお薬です。
漢方では南天実は使用されておらず、おもに民間薬として
利用されているわけです。
薬理を調べると、動物実験の内容が多少わかるわけですが、
カエルやウサギ、マウスや犬まで、ちょっと残酷な内容
だったのでここでは控えさせていただきます。
まあ研究者は、人のために様々な実験研究を
なさっているということですね。
染め人としては、この南天もほっておくと、株元からどんどん
茎が伸びてきて、大株となってしまうわけですから、間引き
しなくてはなりません。
間引きしたり、剪定した時に出る茎を
利用して糸や布を染めるわけです。
切り取った茎をご覧いただくとわかりますが、
外皮を剥ぐと黄色となっていますよね。
この長い茎の外皮を剥いで、
なるべく細かくして染料とするわけです。
染料となる植物を煮出す前に、抽出しやすい
ようにする作業もあんがい手がかかるものです。