藍を種から育て藍染めを楽しみ、身近な草木から自然の色を染める。藍や草木染めの染色の基礎を知り・学び、創る喜びを共に。

主な染料・草木植物

主な染料・草木植物



草木染の染料として利用する多くの草木植物は、薬草として古来より大いに利用されてきました。

それらの草木植物の色素をいただくにあたり、やはり最も美しい色が染まる季節というのがあります。 それはそれぞれの草木植物によって違いますが、長年伝承されてきた染料にはそれなりの理由があってその時期にだけ染めるということがなされてきました。

実際その通りに染色し、比較すると確かに発色が違ったり、堅牢度が違うこともあります。



草木染は退色するものととらえられていますが、古代人が染色した考古学上発見された布裂を見ますと一概にはそうといえないものがあります。できることなら退色せず、永遠とは申しませんが堅牢度の高い染めをしたいと願っています。

それには、丁寧に丁寧に染め重ねながら自然の色をいただくしかありませんね。



1年12か月でそれぞれに適した草木植物を仕分けしてしまうと、「~ねばならない」と意識しすぎても困りますので、大まかに四季に適した草木植物、しかも、なるべくなら身近に入手しやすい植物について記していきたいと思います。

しかし、何分にも1月も終わりになり、もうそろそろ天地返しの準備をしなければなりません。 そして、例年のごとく藍の種蒔きの時節に入りますから、期間をかけて更新させていただきたいと思います。



ちなみに、私はあまり虫染めは好きではありませんのであしからず。
なお、春から夏場にかけては、生の茎葉など入手しやすいものが多く、
春先から夏場にかけて染めたり、9月に入ってから染めたりすることもあります。



山野草・染料植物採取のポイント



冬の染料植物



紅(ひ・くれない)、紅花
紅(ひ・くれない)というのは、紅花で染めた黄味のある赤でいわゆる紅染めの標準的な色合いのことをいいます。
奈良時代には紅(ひ・くれない)と呼ばれており、他にも平安時代には中紅花(なかくれない)、江戸時代には、中紅(ちゅうべに)、紅色(べにいろ)、紅染(べにぞめ)とも・・・



ムラサキ・紫根(しこん)
紫草は、日本全土の山地や草原に自生していましたが野生の紫草の根を草木染に使うのは難しいかもしれません。 日本の紫根と同じものですが、現在は内蒙古に自生する硬紫根が中国から輸入されています。 紫染めは、まず染めるモノを椿灰汁に浸して・・・



ウコン・鬱金(うこん)
ウコンというと、すぐカレーを思い出しますが、カレーに利用するのは秋ウコンのほうでウコンも春ウコン、紫ウコン、白ウコンなどの種類があるようです。 ウコン(秋ウコン)と春ウコンは、沖縄では昔から庭先で栽培し、家庭薬として重宝されてきました。



茜・茜草・アカネ・日本茜
暖帯に広く分布する茜は蔓性の多年草です。我が国において山地や野原、畑地に多くみられましたが、最近散策してもこの辺では見かけることがまったくありません。ですからご縁で入手した日本茜を大事に大事にほったらかして増やしています。



梔子・クチナシ・山梔子(さんしし)
クチナシは特に手入れをしなくてもこんもりとした樹形になり、6~7月頃つやのある濃緑葉の間から、純白のかぐわしい香りの花をつけます。オオスカシバという雅の幼虫さえつかなければ、本当に手間いらずで庭木としても気軽に栽培できます。


春の染料植物



梅・ウメ
あなたもよくご存じの梅干しを作るあの梅、梅の木は大変堅牢に染まる植物染料だと思います。 我が家にも実取用の梅の老木がありますが、すでに老木3本を切り倒し使い果たしてしまいました。



ヨモギ・よもぎ
ヨモギの品種もいろいろあり、地方によって呼び方が違ったり、どの種類を同一種とするかとかも諸説あるようです。 一般的に知られているのが、カズザキヨモギのようで、キク科の多年草で茎、根があり走枝をだし、直立した丈は50~120㎝ほどもあります。



ハチク・黒竹・竹
イネ科の竹や笹の仲間は、約45属、670種もあり、熱帯から暖帯に多く、一部温帯や亜熱帯にも分布しています。竹・笹類の茎は稈(かん)と呼ばれ、木質中空で多年草です。



椿・藪椿、花椿
椿は灰汁を作るだけでなく、花も葉も染料として利用できます。我が家では藪椿を増やし、もっぱら灰汁作りに利用していますが、花椿も2本ほどあります。花首が落ちることから嫌う人もいますが、私は侘椿が好きです。


夏の染料植物



葛・クズ
葛はマメ科の多年草植物で、その生命力の強さといったら日本全国に自生するほどではないでしょうか。
毎年晩秋から冬にかけて、国産の良質な葛澱粉を蓄えた深山の葛の根っこを人の手で掘り、葛澱粉を抽出し、自然の水で精製された葛粉の美しさといったら何とも言えぬ寒晒しの白さです。



カモミール・カミツレ・カミルレ
フルーティでリンゴのような芳しい香りを運んでくれるカモミールがこぼれ種で今年もたくさん増えています。
カモミールも絹や綿を玉子色に染めることができます。



ローズマリー
スッキリとしたカンファ―の香りが特徴のローズマリーはクリアでしみとおるようなリフレッシュさせる芳香がありますよね。
今、紫の可憐な花が咲き誇っており、毎年刈り込んでは染めを楽しんでいます。



バラ・野ばら・ノイバラ
現在栽培されているバラは、2万種以上もあるといわれていますが、もともと地中海周辺に古くからある西洋バラと中国バラの交配から香りのよい大輪の四季咲き性の品種や日本に自生するノイバラなども交配されさまざまなタイプのバラが生まれました。



茶・茶の木・チャノキ・お茶の出がらし
ツバキ属の茶の木(チャノキ)は、建久2年(1191年)に僧栄西が中国から持ち帰り、緑茶用に各地で栽培されたようです。
茶栽培では丸く刈り込まれることが多いですが、我が家の茶ノ木は古く私の年齢以上になると思いますが、何度か更新されているため適当に腰高あたりの高さとなっています。



減の証拠・ゲンノショウコ
減の証拠は昔から下痢止めの妙薬として利用されていた薬草です。夏の土用の丑の日のころになると、次から次へとこの花が咲きそろいます。花は径1.5㎝ほど、花弁は5枚で東日本は白、西日本は紫紅色の可愛い花が咲きます。20年前に近くに群生していた減の証拠を移植したのですがどういうわけか花が紫紅色なんですよ。


秋の染料植物



小鮒草・コブナグサ・刈安
一般的に原野などに生えている一年草の草・小鮒草(コブナグサ)、別名・刈安(かりやす)ですが、我が家は原野も同然なのでところどころにこのコブナグサが生えてきます。
これもほっておくと一面が刈安だらけとなってしまうし、刈安で染めるとすれば、大量に必要となります。




植物染料の種類

近年、藍や草木染に興味を持ったり、染色を楽しむ人が多くなりました。
なるべくならあなたの身近に存在する、あるいは、栽培した花や草木で染めたいですよね。
あなたが採取した植物は、生のまますぐに煮出して染める場合と、乾燥して保存して、必要な時に煮出して染めることができる染材があります。
また、染色材料店で市販されている染材などは、乾燥した植物ですが、色素成分を抽出した液を濃縮した液体染料、また、固形、粉末のエキスにしたものなどが販売されています。
漢方薬店にて販売されている薬草類も染料となるものが多いです。


媒染剤によって発色固着する染料(染材)

多くの植物染料が媒染剤によって発色し固着するタイプの染材です。
染液は淡い黄色から茶系がほとんどですが、媒染剤として用いる金属の種類によっていろいろな色に発色します。
先に媒染してから染める方法と、染色してから媒染する方法があります。染材によっては、先媒染したほうがよいものもあります。また、被染物(染める素材)によっても先媒染したほうがいい場合や先媒染、後媒染をする場合もあります。

媒染剤なしで使用する染料

媒染剤を使わなくても染められる染料か、または媒染剤を使っても発色にあまり効果のない染料があります。たとえば、紅花などです。

還元して染め、空気酸化で発色する染料

多くの人を魅了する青・藍色を染める藍染がこのタイプとなります。
また、貝紫も同様です。

赤から紫系の色の花、実、葉

時代の変化とともに着物を着て暮らすことが少なくなり、多くは洋装で暮らしていますが、近年草木染を楽しむ人も多く、西洋ハーブや赤や紫系の花や実、葉などが使われるようになりました。
これらの色素成分はアントシアンで、色素は赤ですが、媒染剤によって紫から青、緑系の色が得られます。
しかし、色素は大変不安定で、堅牢度はよくありません。すぐ退色してしまいますが、ほかの植物では得られにくい色が染められるため、大変人気が高いです。

地衣類(ちいるい)

よく木の幹とか石垣などに苔に似たものがついているのを見かけると思いますが、苔ではなく、菌類と藻類が合体した生物だそうです。
ウメノキゴケは地衣類に属し、暗い赤から紫が染まります。

キノコ

欧州や米国では、かなり染色に利用されていますが、日本ではほとんど利用されないと思います。私も主に食べるほう専門です。




有用植物の保護の重要性

現代の医療というのは西洋医学が中心ですが、近代医学では解消できない生活習慣病の増加や化学薬の薬害問題など、栄養医学でも限界があることはご存知だと思います。

世界的には伝統医学が見直されており、天然素材由来の生薬を用いた薬物療法が主流となり、その主原料となっているのが有用植物、つまり薬草です。

我が国においては、明治維新後、漢方は西洋医学にとって代わり衰退してきましたが、1980年代ごろから漢方薬の使用が拡大して治療薬としての、また予防薬としての効果に関する有効性を証明する研究論文が多く発表され、現代の医療現場でも多くの医師が漢方薬を処方しています。

高齢の伯母も病院で薬を貰う際に、漢方薬なら安心だといって、薬は本人の意思で漢方薬のほうを貰っています。

また、薬用植物は食品分野でもサプリメントとして活用されていますよね。

これは世界的レベルでの需要増なんです。

野生の薬用植物を保護することも大切であり、それらの栽培を促進する必要もあると思います。



我が国が得意とするバイオテクノロジーや植物工場技術を利用した薬用植物の栽培はアグリビジネスとしても期待されていますよね。実は、藍も医療目的のためにある企業が昨年から無農薬・有機栽培にて本格的に研究を始めました。どのような研究かは明かしてくださいませんでしたが、高齢者の仲間入りする私としては病気にならないような生き方をしておくしかありませんが、成果を期待したいと思っています。

日本国内でも薬用植物は盛んに栽培されていますが、人件費の高騰や農村の高齢化などにより生薬の自給率者現在10%ほどで、80%を中国から輸入しているようです。しかし、中国産の生薬は中国国内でも需要増大していますし、それに生薬の輸出制限を強めて価格も高騰しています。

それに現在、大戦の時と同じように我が国を孤立させて攻撃を仕掛けたい輩もおり、凛として冷静な判断と対策を講じてもらいたい状況に侵されている立場ですからね。

中国に頼るだけでなく、栽培可能な国への依存度も高まっていますが、自国での自給率アップも考慮したほうが無難と思われます。



薬用植物の種の保存と国内栽培技術基盤の確立も必要でしょう。ワシントン条約では、自然保護の立場から絶滅危惧種の動植物の輸入・輸出制限を行っています。ですから、話が飛んでしまいますが、私の象牙の三味の撥も鼈甲の簪も手放したらもう二度と手に入らなくなってしまうことになりますよね。

知的所有権が原産国にあるという理由で植物の持ち出しは困難となっており、伝統的知識も大きな財産と考えられ、資源保有国の利益が守られるようになっています。

我が国にも我が国独特の伝承された有用植物の利用方法があります。ひと昔前までは、ほとんど民間療法で病気予防や治療してきました。

先端的な医療技術ばかり注目されていますが、病気にならないように、また、病気は未病のうちに治すという考えで、健康維持、健康増進という考えかたをするほうが、病気になってから治療するよりずっと優先されるべきだと思います。

我が国は確かに長寿国といわれていますが、寝たきりや自分のこともわからずに生き延びるより、終わりの時まで自分のことを自分でする喜びを得るためにも未病のうちに治療する、病気になるのを予防する生き方をしたいものです。



草木染の染材料の多くは、薬草であり、生薬です。染めを楽しむ際には、その有効性も知り、大いに活用したいものです。

そして、大戦のきっかけとなった原油や第二のレアアースとならないように、自然の植物、薬草類を大切に保護もしたいものです。

これから先の時代はますます自然の情愛を失くしたり、心の病や異常気象などの影響による根絶したと思われている感染症も増加傾向になると思います。

ネズミの発生による被害も聞いているため、冗談抜きで私もペスト予防対策を準備しました。(笑

染色材料となる植物の有効性も勉強しながら、染を楽しめるといいですね。




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