藍を種から育て藍染めを楽しみ、身近な草木から自然の色を染める。藍や草木染めの染色の基礎を知り・学び、創る喜びを共に。

糸・布・いろいろ

糸・布・いろいろ


手紡ぎ手織りの布について



科学技術の進歩と共に、私たちの生活は向上し、環境は急速に変化してまいりました。

地球的規模において、確かにカルチャーの差は著しいものがございます。 生活の向上を願って、利潤の追求をし、私たちはとても大切な地球の環境というものを破壊し続けてまいりました。



これ以上地球環境を悪化させないよう、国レベルでの対策も検討され努力されておりますが、一人一人の努力も大変必要です。 先進国としての役割を果たすと共に、地球人としての責任も果たさなくてはなりません。



しかしながら、気がついておられると思いますが、私たちの生活の向上とともに失われてしまったものは、他にもあります。 それは、心の貧しさであり、自然の情愛を失うものが増えたこと、文化の欠落です。

でも、そのことに気がついている人は、幸いだと思われませんか。
どのように対処すべきかが理解できるのではないでしょうか。



最も自然に近い方法で育てられた綿を紡ぎ、手作業で織られた布には、ほのぼのとした温もりが感じられます。 肌につけた時に、初めてその風合いとぬくもりは感じることでしょう。



綿を紡ぐ



最初、コマを使って糸を紡ぐことから始まり、今では糸車で糸紡ぎが行われております。 一人で一日糸を紡いだにしても、できる量はわずかな量にしかなりません。



手紡ぎの綿糸



それをさらに織り上げるまでには、相当の期間を必要とします。それぞれの反物にそれぞれの織子の思いが込められており、その思いを噛締めながらさらに思いを込めて染めあげます。

手間暇の掛かりすぎる作業ですが、物を自分の手で作り上げることの喜びはなんと表現したらよいのか、この喜びは物を作り上げることをした人にしかわからないでしょうが、着る人に伝わるようその喜びと願いを込めて染め上げます。



手に触れた時、肌に身につけた時に、紡績布との違いが確かにお分かりになることでしょう。


布を染め上げるまで



一枚の布を染め上げるまでには、色々な工程をしますが、その時々に応じて変化や特長があったり、困ったり悩んだりすることもあり、それによって増し加わる喜びや楽しみもあります。


  • 布を仕入れる

布を購入するときは、やはりサンプルを検討します。 でも、サンプル生地が小さいために全体的にどのように織られているのかがよくわかりません。

紡績布の場合は、精錬済みのものと未精錬のもの、晒しのものと未晒しのものと色々あります。 手紡ぎ手織りのものは、未精錬のものが殆どで、たまに精錬済みのものもあります。


  • 布を精錬する

業者が精錬したものは、大量に精錬するために精錬不足のものが多く、さらに自分で精錬しなければなりません。 その状態によっては、1回の精錬ではなく、2回精錬することもあります。



また、その精錬の段階で、染めに耐えられない、つまり疲れる生地であるものもあります。 そういう場合の手紡ぎ手織りの生地は、染色せずに、シーツやタオル、テーブルクロス、部屋着といったものに利用するか押入れの奥で眠ることになります。



また、精錬後、数回の染色に耐えられない生地も出てきます。 藍染めなどの場合は、10数回から30数回も染色するわけですから、2.3回染色したら疲れる生地では困ります。

さらに、服などに仕立てた場合は、何十回も洗うわけですから、洗ったらよれよれでは困りますよね。 ですから、基材屋さんから仕入れた生地は、いつも同じであるとは限りません。

多少の風合いの違いは、手紡ぎ手織りならではのことですし、またそれに味わいがあるのですが...全く、初めて取引する業者とか始めて手に入れる生地の時には、特に、手にしてから精錬し、染色工程の段階で判断するわけですから、緊張と不安があります。

糸と織り見本を提供して織りを依頼することもありますが、それでもなかなか思うようにならないことが多いのです。 自分が機織りし、技術指導をすれば別なのかもしれませんが、こちらの意図が上手く伝わらないこともしばしばです。

今のところ数社の基材屋さんから手に入れる生地の当たりはずれを覚悟しての染となります。 染色経験の少ない方やアドバイスを受けられる状態の人は、色々と相談してから生地を購入した方が無難かもしれません。

でも、実際は自分で試して生地がどのような状態になるのか試みる方が勉強になるでしょう。


綿布を精練する



紡績布は、ほとんど精錬済みで販売されていますが、精錬済みのものでも、必ず購入後は、中性洗剤で洗い、よく濯ぎます。 手紡ぎ手織りのもので精錬済みのものは、必ず自分でさらに精錬した方がよいです。



手紡ぎ手織り綿の精錬



業者が精錬する場合は、まとめて大量に精錬するために、きれいに精錬されておらず、精錬不足のものがほとんどだからです。 その状態によっては、1回ないしは2回精錬する必要があります。 精錬後の生地はかなり縮みます。

紡績布でも、手紡ぎ手織り布でも縮みますが、その縮み分の割合は、2~8%位の巾がありますが、アフリカ綿を精錬した時は、7~11%の間で縮んだことありました。



ほとんど手紡ぎ手織りの生地を使用していますが、同じ定番の織っている布でもその紡ぎ手や織り子によっても違いますし、さらにその年に収穫した綿によっても違います。 その生地により、毎回い違うこともあるので、縮み分の計算がしづらいこともあります。

また、だんだん紡ぐ技術が向上してきますので、年々紡ぐ糸が細くなり、織りもきれいになってきます。 熟練した人が手紡ぎ手織りした布は、糸が抜けていたり、切れていたり、筋が出すぎていたりすることもなく、まるで機械で織り上げたような布に仕上がっています。

しかし、紡績布とは風合いがぜんぜん違い、まるで空気を含んだように柔らかく織りあがっています。 精錬後、お湯でよく濯ぎ、さらに水でよく濯いで乾燥させておきます。

精錬不足だと、きれいに染まりませんので注意が必要です。


藍で布を染める



精練した布を染色する時は、染め始める前に水につけて十分水分を含ませます。 藍染めするときは、一番最初は何分染めていても何十分染めていてもあまり変わりません。

でも2回目の染色時間は、一番最初に染色した時間より短くして染めます。 そして、3回、4回と染色していきます。

普通は12.3回くらいが定番でしょう。 物によっては、15.16回、上物で24回くらい、あるいはさらに30回以上も染めることもあります。



藍染めの綿布



発色させる場合は、自然発色の空気酸化、あるいは、水酸化することもあります。 最近は、手早く発色させるために発色剤も取り扱われています。

通常の空気酸化させるやり方は、まず表面が酸化し色がだんだん発色し青になってきます。 しかし、繊維の奥のほうは、なかなか発色しません。

それを繰り返し染色しますが、同じ回数を染色したとしても、繊維の表面の顔料化した色素を洗い落とすと、色はかなり落ちてしまいますが、手間隙かけて根気よく染めることを繰り返す、ただそれだけです。

水で酸化させると少し暗い感じの藍色となりますし,染める人によっても藍の色が違います。 不思議なことですが、染め方や発色のさせ方の違い、同じように染色しても人が変わると微妙に藍色が違うのです。



染め上げた藍染め布は、数ヶ月あるいはさらに長期間、暗いところで寝せておきます。 その間に藍の色素は奥へ奥へと入り込んでいきます。

寝せた藍染め布は、その後水で流しっぱなしにしながら水で濯ぎアクを抜きます。 さらに、その布を藍返しといって、藍染めします。その後、水でよく濯ぎ、乾燥させます。 時には、染め上げて寝せていた布の色が少し薄くなっていることもあります。

表面の顔料化した色素をそーピング剤を使って湯でよく揉み洗いして、水で濯ぎ、酢酸で中和させ、その後さらに水洗いをして乾燥させるか、さらに染め重ねることもあります。

その時の状態によっても、仕上げ方法が違うこともあります。


葛布について



静岡県掛川市にて、今もなお細々ながらも生産されている葛布・・・
でも、ほんの数人の作り手しかおられないと思いますが。

葛というのは、なんと有用な植物なんでしょう。 マメ科の植物で、何処の山野にも空き地にも生育しているし、我が住む町の川の土手にもいっぱいの葛が生い茂っています。 

葛の根は、葛粉として和菓子や葛湯とかの食用にも、また、風邪の薬・葛根湯としてもよく知られています。 葛粉に熱湯を注ぎ、砂糖としょうが汁を少々たらして飲むと体も温まるし、とてもおいしいですよね。



葛の葉は、草木染として利用すると、シルクをとてもきれいな緑系の裏葉に近い・竹染めのような色合いに染まります。 染め上がった絹をなでるように愛でたことが思い出されます。

さて、葛は、まだ機が完成されていなかった時代・縄文時代の頃といわれていますが、編んだり、組んだりして、袋とか籠ようなものとかに用いられていたと考えれています。

現在でも、葛つるの籠を楽しんでいる方は多いですが・・・
科・楮・藤などと同じように、木綿(ゆう)と総称され、靭皮繊維を糸として織るということに使われました。



養蚕の技術と絹織物の技術が伝来されてから、飛鳥から天平にかけて、朝廷を中心として用いられるようになり、原始布であるこれら木綿(ゆう)と称せられるものは、どちらかといえば一般庶民の衣類になっていったようです。

でも、一部の貴族や武士の夏衣として、特に、袴として用いられ続けてきたようです。 葛布をご覧になった方はお分かりと思いますが、現在利用するとしたら、ベストとか、バック、センターとか、障布とか・・・ちょっと硬めで張りがある粗布ですが、とても光沢があることにお気づきでしょう。



我が家にも、カモマイルで染めた葛布が残っていますが、何分にも、猫がその間仕切りに登り上がって傷めてしまうために、今は、暗所に寝せております。 そうじゃなくても、所々糸が出ていたりするしね。 でも、猫にすれば、詰めが引っかかり登りやすいのかもしれませんね。



さて、話がそれてしまいましたが・・・

葛の蔓は、梅雨に入った6月頃から、残暑厳しい9月の末頃まで採集できます。 葛蔓は、地面を這うように伸びていますが、繊維として利用する場合は、なるべくまっすぐに伸びている蔓を利用します。

蔓を利用して籠などを作る場合は、なるべく長いほうがよいですが、繊維として利用する場合は、切りやすい長さ、つまり・・・左手に一方の蔓をつかみ、まっすぐに伸びているかを確認するようにしながら右手を蔓を這うように外側に持っていくと、ちょうど両の手を広げた状態になります。



効率よく切るためには、ちょうどその長さくらいがいい。 もちろん葉っぱは切り落とします。 染めたい場合は、その葉っぱを染めたいものに応じて、とっておきます。

切り取った蔓は、10本一単位くらいにして、丸めて束ねておきます。
それを繰り返し、必要量と切り取ります。 一般に言われているには、50キロの生葛から取れる繊維はわずか1キロほどとのことです。



切り取って束ねた葛蔓は、翌日には、30分ほど煮てから、川で半日くらい晒すそうです。 ススキとか蓬とかの草で室をつくり、つまり、地面の上に草で囲いを作り、その中に葛蔓を並べて草で覆うことをします。 さらに、その上にビニールシートで覆っておきます。

サツマイモの室つくりとも少しは違いますが・・・
地面に穴を掘って、ワラやスクモを敷き、その中にサツマイモを入れ、ワラで覆うようにして、土をかけます。

雨水などが入らないように、近所の農家の人たちは、ハウスの中で作っていますが、我が家では、昔は、竹薮の中にあった防空壕の中にサツマイモの室がありました。 ちょっとだけ子供の頃を懐古中・・・



2~3晩、放置すると、皮は柔らかくなり、ぬめりがでています。
そうそう・・・また、それてしまいますが・・・梅干を作る時も1晩、2晩、というような表現ですよね。

腐ってやわらかくなった外皮を川で洗い流します。 「ぶち洗い」というそうですよ。 洗い終わった葛は乾燥させないように注意して、外皮と芯の間の靭皮繊維が、糸となるので、洗った蔓をしごきながら、芯を抜いていきます。



芯を抜いた繊維に絡まった余計な苧綿(おわた)を取り除き、端をそろえて(尾ぞろえ)50本づつまとめて先端を束ねて置くそうです。そして、さらに、尾ぞろえした葛を川で洗うそうな。

洗い終わった葛は、その頃には、きれいになっています。 洗いあがった葛を績むときにすべりがよいように糠水につけて、軒先などに板場づつ干して乾燥させ、生乾きのときに、繊維をしごくように伸ばすことによって伸びてきれいに仕上がります。

このことは製品が汚れた時に洗って陰干しをして、仕上げのアイロンをかけるときの作業とにていますでしょ。



この時には、50キロの葛がわずかに1キロとなっているそうですよ。それから、束にした繊維の1本ずつを爪で細かく裂いて、裂いた1本の繊維の根元ともう1本の繊維の先端を、葛結びという結び方でつなぎながら、おぼけという籠の中に入れていきます。

織るためには、おぼけの中に入っている糸をひっくり返して、糸口を右手で持って、左手に持った箸に8の字を描くように巻きつけます。(葛つぐりと言う)杼に入れるために、撚りがかからないようにするための方法だそうですよ。



葛を採集してから、仕上げの洗い作業をするまでも1週間近くもかかりますが、さらに、葛績みをし、つぐりを終えるまでに、2ヶ月間もかかるそうです。それから、機織するわけですね。 とても大変な作業です。

日本で唯一現在従事されている川出幸吉商店の方には、大変な作業ですが何とか続けて、後継者も多く現れてくるといいですね。

今年の夏は、遊び程度ですが、芯抜きをして苧綿取りをするところまで試みてみようかな。

葛の葉っぱは、真綿でも染めて・・・楽しむことにしましょうか。でも、採集時期は早めのものを・・・時間がなかったら、籠作りに挑戦かしらね。



ちなみに、葛粉は、葛の根っこを掘り上げて、その根っこをよく洗い、細かくして煮て、その灰汁を捨て、それを繰り返して、最後に白い粉が残ったと思います。 穴掘りも大変ですよ。

なんと、地には人間にとって有用な植物があるのでしょうか。 すべて、人間のために備えられているような気もします。

感謝をこめて、この地を大切に管理していきましょうね。


大麻について



大麻栽培は免許制です。

麻は、環境にやさしい作物の一つなのです。 綿栽培のように、農薬や化学肥料をほとんど必要としないし、雑草や害虫にも強いんです。



大麻の糸



「麻」は、あえてオーガニックといわなくても最初から天然素材なのです。 海外動向を調べてみると、工芸活動としての経済自立の助けとして、医療研究、使用許可する国など、市場拡大中となっていますが、わが国はまだまだ未発達です。

麻の利用分野は、産業利用、伝統工芸、医療用、嗜好品に大別できますが、麻の新しい活用法が見出され、衣食住の新たな資源として高く評価され始めました。

  • 環境にもよい衣服として
  • 非木材の紙利用として
  • 化粧品の原料として
  • 医薬品としても利用されている
  • 健康食材としてもすでに利用されている
  • 住宅用の建材として麻の茎のチップ、繊維くずから断熱材などに利用され始めています。
  • エネルギーとして
  • プラスチックの副原料として

    1993年以後、イギリスを始めオランダ、オーストリア、ドイツ、カナダなど大麻栽培を解禁した国が徐々に増えています。 その目的は、化石燃料の依存度の軽減、森林伐採の進行を止めるという地球環境問題の視点と、農業の新しい市場開拓のため、また既存の技術を応用した開発での新産業創出を図り、雇用問題の改善と地域経済の活性化のための政策です。



EUでは、休耕地での大麻栽培奨励金の支給や産官学と農家が一体となり研究や事業が起こされています。

追記:大麻草について記したのは、もう15年以上も前のことで、
2016年現在どうであるか、大麻草の有用性と現状についての再考
してみました。

大麻草の栽培免許の取り方や栽培、有用性などに関しては、
以下の本が参考になると思います。

奇蹟の大麻草―人類への贈りもの

大麻の精神的・身体的・文化的・社会的有用性についての考察から、
世界の大麻事情、大麻栽培者免許の解説までなされています。

ヘンプ読本―麻でエコ生活のススメ

大麻草の歴史、栽培、加工法から麻の実料理レシピまで様々な角度
からヘンプを紹介し、巻末にはヘンプを暮らしに採り入れるための
具体的な24の方法が示されています。


エンジムシ(コチニールカイガラムシ)について



エンジムシとは、ウチワサボテンに寄生するカイガラムシのことです。

エンジムシのメスの成虫は、体長が3ミリほどでオスはメスの約半分しかありません。 どちらかと言うと、カイガラムシは大害虫の部類に入るのではないでしょうか。 でも、悪評があるにもかかわらず、栽培する農家の人もいるんです。 美しい赤色色素のカルミンという色素は、このエンジムシを乾燥させて砕いたメスから採ります。



メキシコのオアハカ州にあたる地域に住んでいた古代ミステク族の時代から染料として使われていたようです。 スペイン人の征服者たちは、その深紅の色に魅せられ、その後多くのヨーロッパ人がこの自然の染料の鮮やかに色合いをとても好むようになったようです。

19世紀半ばまでには、合成着色料が天然着色料に取って代わり始めました。化学合成された色のほうが生産しやすく、安上がりで、発色が優れていたからです。



短期間の間に、食品、医薬品、化粧品の着色料として合成着色料が占めるようになりましたが、その使用が増えるに連れて、安全面での心配がでてきました。

70年代の研究で、一部の合成着色料に発がん性の疑いのあることが指摘され、健康に害を与えかねないと言うことを知り、それにつれて天然着色料が注目を浴びてきました。 ペルーでは、現在世界のエンジムシの約85%を生産しているとのことです。



エンジムシのカルミンの生産はどのようにするのでしょうか。 エンジムシは、ウチワサボテンの茎で生涯を送りますが、粉末状の蝋のような物質を分泌して捕食動物から身を守ります。

その綿毛のような物質は、エンジムシを包み、その住処となりますが、その分採集の時期には見つけやすくなります。

カルミン酸を多く含むのは、卵を産む前のエンジムシですから、それを採取することは特別の注意を払うことでしょう。



アンデス山脈では,7ヶ月ほどの間に採集を3回ほど行うようです。硬いブラシでこすり落とすか、鈍くなった刃物でこそげ落とし乾燥、消毒、粉砕をへて粉末になったこのムシを、アンモニアか炭酸ナトリウムの溶液で処理します。

カスを漉し取り、精製したカルミン液体ができます。紫系を出すために、石灰を加えたりもします。



染色材料としては、乾燥品、精製した液体として販売されています。着色料としては、丹念に検査され、研究に研究を重ねているわけですから、安心できることでしょう。

着色料や染料としてあの鮮やかな深紅の色はとても魅力的ですが、エンジムシから作った化粧品をつけると思うと、ムシが苦手な方は躊躇してしまうかもしれませんね。



染色するにしても、乾燥ムシを擂りながら生きているエンジムシを想像してしまうこともあるかもしれませんね。


絹糸の名称について



生糸(なまいと)

蚕が吐糸して作った繭を湯で煮てやわらかくし、それからほぐしだした繊維(繭糸)を引き伸ばしながら何本かを合わせ、繭糸の外周についているセリシンの粘着性を利用してお互いに接着、固定させて1本の糸状にしたもので、

加工前の「生の糸」のことです。
シルクオーガンジーは、生糸をそのまま繊維にして製品にしたものです。



玉糸

蚕が繭を作る時2匹で1つの繭を作ったものを玉繭、あるいは、同功繭(どうこうけん)といい、玉繭から1本の繊維を秩序よくほぐし出すことは困難で、もつれた状態、つまり、節が多く発生しますが、このような玉繭による生糸を玉糸といいます。
シルクシャンタンやリンシャンなどの繊維原糸に使われています。



紬糸

真綿を引き伸ばしながら手で積むいた糸、あるいは、精錬したくず繭から足踏み機で紡いだ糸のことです。
タテ糸やヨコ糸に用いて、手織り絣、縞などの紬織物に仕立てられます。



真綿

生糸の原料として不適当な繭や玉糸をアルカリ溶液で処理し、セリシンを除いてできた綿を引き伸ばして平板状にしたものです。軽くて保温性に富むので、夜具類の中綿に利用されていましたが、現在はほとんど紬糸に加工されています。



絹紡糸

生糸を製造する工程で産出されたクズ糸やクズ繭などを精練して綿にし、短繊維にしながら紡績した糸のことです。精錬の程度により半練り、七部練り、本練りの区別があり、繊維長が長く、細番手のものは生糸に近い価格で取引されます。

生糸の代理品として、昔は銘仙や富士絹などの織物に利用されていましたが、現在は短繊維の特長を生かしてブラウスやスーツなどの服地に多く用いられるようになりました。



絹紡糸の製造段階で延展機にかけたラップを「ペニー」といい、比較的長い繊維が集まります。また、これの工程の際に出るクズ繊維を「プーレット」といい、それぞれ単独、あるいは、他の繊維と混合して紡績されます。

絹紡糸の原料、つまり、副蚕糸には、選除繭では穴あき繭、出殻繭、浮きシワ繭、薄皮繭、汚染繭など、製糸工程から出るクズには、きびそ、びす、揚がり繭など、製織工程から出るクズを生糸くずといいます。




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