藍を種から育て藍染めを楽しみ、身近な草木から自然の色を染める。藍や草木染めの染色の基礎を知り・学び、創る喜びを共に。

染色用語・基材

染色用語・基材などについて



染色用語は、現代になってから名前が付けられたような気がします。 私の祖母が山の中で草木染めをし、紬を織っていたころはそんなにも難しい言葉は使っていなかったような気がします。 

それに、近くにはお店もなく、一番近い無人駅まで歩いて1時間もかかり、その対岸の駅に行くために歩くだけで揺れる吊り橋を渡るような辺鄙な山の中の暮らしでした。 そんな山の中の貧しい暮らしの中では、媒洗剤なんてものも買えなかったと思います。

今は、ちょっと専門的な染色用語が少し使われていますから、それに関して少し簡単に説明したいと思います。




日光による退色と堅牢度について



合成染料でもいえることですが、植物染料で染めた色は、光により次第に退色していきます。 退色の速度は、染料により大きな差があり、直射日光に数時間あてただけで白っぽくなってしまうものもあるし、半年経っても変色しないものもあります。

日光に対する堅牢度(強さの度合い)は、染料の化学構造によって決まるわけですが、同じ染料でも、染める繊維によって堅牢度が変わる場合もあるし、同じ染料、同じ繊維で染めても、染料濃度が濃くなると堅牢度が強くなり、薄くなると弱くなります。



藍染めも繊維や濃度の違いにより堅牢度が大きく変化する染料といえます。 毛に染めた藍は、案外淡色でも強いけど、絹や綿に染めた藍は、濃色では強いけど淡色だと急激に弱くなってしまいます。



現代では色落ちしないように色止め液なども、染色材料店にてそれぞれ特徴のあるものが販売されています。

私の場合は、あえて、全体的に直射日光に当てて、退色させ、また、薄い色を染め重ねることを繰り返しながら、なるべく色止めなど余分な助剤は使わないように染め重ねています。



また、直射日光に当たらないように、よく広げて、短時間で風を入れて乾燥させることもあるし・・・求める色が薄い場合は、3回ぐらい染め重ねて、その求める薄い色にするけど、乾くと少し薄くなるので、濡れているときは少し求める色より濃い色合いにします。

でも、自然のもので染めるわけだから、退色して当たり前だと思っています。 その退色した枯れた色合いも魅力があるように丁寧に丁寧に心を込め思いを込めて染めています。

でもなるべくなら染めたものの色が褪せないようにしたいものですね。




主な染色関連・助剤・一般薬剤用語


浴比 (ヨクヒ)
浸染に使用する水の量のことで、染める布(糸)の重さ:水の重さで表します。例えば、100gの布を浴比1:50で染める場合、水の量は5000g(5リットル)となります。

精練 (セイレン)
生地に含まれる色素・ガム質・蝋などの不純物を取り除く前処理です。

晒し(さらし)
「晒し」とは、染色する前に織り上がった布の繊維に付着している不純物や糊を取り除いたり、色素や臭いをとり、きれいに布が染まりやすくする「精練・漂白」の工程のことです。
「晒し」の方法には、自然を利用する「天然晒し」と薬品を利用する方法があります。
昔ながらの自然を利用した方法には、天日干しして太陽に晒したり、雪の上に広げて「雪晒し」したり、海や川の中に布を浸けて晒したりしていました。
空気中のオゾンは、除菌や消臭、漂白の効果があるのです。本来は自然の力によって晒していたものが多かったのですが、何せ手間暇がかかりすぎるためか現在は薬品で晒すのが主流となっています。
また、「先晒し」「後晒し」という言葉があります。「後晒し」とは、織り上げた後で晒しの工程を行って、不純物や糊、蝋などを落とすことをいいます。
また、糸の状態で晒すことを「先晒し」といいます。

アルカリ
pH7.0を示すものを中性といい、これより高い値を示す物質のことでpHが高いものは皮膚などをとかすので、ヌルヌルの感じがあります。リトマス試験紙を赤から青に変えます。

演色性
ものの見え方に照明が及ぼす影響のことです。光源はそれぞれ特有の特性があり、このことを演色性という。演色性がよいということは、 物体をより自然に近く見せるということです。

界面活性剤
せっけん、洗剤などのことで、親水性と疎水性の性質を持ったもののことで、水と油を混ぜる物質。用途により、浸透剤・乳化剤・分散剤・湿潤剤などに使う。個人的に草木染をする際には、界面活性剤をステンレスの鍋底に原液をたっぷりと塗り込んでおきます。薪を燃やして染めるわけですから、ステンレスの鍋底は油煙がこびりつき、こすり落とすのが大変なんですが、この界面活性剤をたっぷりと塗っておくとそれほど力まなくても鍋底をきれいにすることができるので大いに利用している次第です。

カラーマッチング
色を合わせたい見本色に合わせることです。染めたいものをなかなか思った色に染めることは難しいので最初は少量の生地を染めます。その後、染色データがでると、本番として大量の生地をそめます。最近では、CCM(カラーマッチングシステム)という機械があるそうで、これを利用すると、染料の配合データを計算して調合量を算出してくれるのです。しかし、自然の恵みである植物は、そうは簡単にいかないのが現状です。植物を採取する場所や時期によっても含有している成分は微妙に違うのです。

加水分解
化合物に水分が影響して起こる分解反応のことです。酢酸エチルと水が反応して、酢酸とエタノールになる反応があります。普通の生活のなかでも起こっている現象で、その他にも、無機化合物、塩、有機化合物と反応するものもあります。

還元
酸化された物質を元に戻すことで、還元とは、一般には原子または化合物が電子を得る反応のことです。酸化されたものを元に戻す酸化の逆のこと。酸化物から酸素を奪うことまたは水素を得ることを還元という。また電子を得ること。酸化銅に水素を加えて加熱すると、銅と水が生じる反応が一般的ですね。還元剤自体は、酸化されており、還元と酸化は、同時におこります。

吸尽染色(浸染)
水に、繊維、染料、助剤を加えて、染液中で生地を撹拌し、温度を一定に保ちながら染めることです。

堅牢度
染色による化学的に作用をうけることに対して対向性、安定性を示したもの。摩擦に対しては、摩擦堅牢度といいます。堅牢度が高いほど抵抗に強いということになり、JIS、ISOに定められています。その他にも日光堅牢度、塩素水堅牢度などがあります。
上記の日光による退色と堅牢度について もご参考にしてください。

ハイドロサルファイト
ハイドロサルファイトは還元剤で、染液中の酸素を奪い、液を還元状態にします。

苛性ソーダ
苛性ソーダは劇薬で強アルカリですから、絶対に素手で触らないようにしてください。水に入れて溶かして使います。
藍の溶解時のアルカリとして使用します。また、木綿、麻の精錬やシルケット加工に使用します。空気に触れると湿気を吸いベトベトし、炭酸ガスを吸いソーダ灰に変化します。使用時以外は必ず蓋をしておきましょう。

染め材
染料成分を抽出する材料を「染め材」といいます。染め材には、草木のほかに、きのこ、ウメノキゴケ、マツゲゴケなどの地衣(ちい)類もあります。また、コチニール、ラック、ケルメス、ミノムシ、青虫などの虫や、貝から染料をとるものもあります。これら地衣類や虫なども草木染、植物染色に含まれます。

飽和染法 (ホウワセンポウ)
インド藍液と必要助剤で極めて濃い藍染め液を作り、従来の藍染めのように染め重ねることなく一度の染めで濃い藍色に染める方法です。過去に一度だけ試したことがあります。確かに何度も染め重ねることもなく、一度に濃い色を染めることができます。何度も何度も染め重ねる手間暇を考慮すると、一回で簡単に好みの濃い色を染めることができるのですからとても楽です。しかし、紡績綿を染めるのならいざ知らず、手紡ぎ手織り綿を染めると味気ない風合いとなってしまいます。ですから、それ以来、個人的には飽和染法はしたことはありません。

クエン酸
植物染料の錫媒染のとき錫酸ナトリウムとクエン酸を組み合わせて使います。また、紅花の酸中和などにも利用します。
個人的には、食用のクエン酸をピーリング剤、つまり、肌のあかすり、特に足のかかとやひざ、ひじなどにクエン酸パックして入浴時に時々利用しています。

ソーダ灰
無水炭酸ナトリウムともいい、洗濯ソーダは無水ではなく、水を含んだ炭酸ナトリウムのことで、水に溶かせば同じものです。
大変用途の広いとても重要な弱アルカリ剤です。絹や羊毛などの精錬、ソーピング助剤、また紅花の抽出などにも使います。

酢酸80%
染色においては広範囲に使用する重要な酸で、染色材料展では現在酢酸80%が販売されています。
氷酢酸は酢酸99%のことで純度が高いのですが、冬場に気温が下がるとすぐに凍ってしまうのでその都度溶かして使わなければなりません。
その点、この酢酸80%は凍りにくいので便利に使用できます。植物染料の媒染剤の溶解やアルカリの中和などに利用します。




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