杉(スギ)の緑葉の草木染め
杉(スギ)の緑葉の草木染め
神社の氏子の人たちが枝卸したスギの枝葉を頂いたので、
炎天下のもと、スギの緑葉を煮出し、紬糸を染めています。
枝卸した杉は、50年以上前に定植した山武杉といわれるもので、
日照り続きのため、まだ枯れ枝も目立ちます。
必要なだけ持って行っていいよとは言われても、
この炎天下のもと染材を煮出して染液を取るのも
難儀するところですから、浸し染めにしています。
英名では、Japanese Red Cedar
緑葉や材は0.7~1%前後の精油成分を含みます。
この杉の葉の煎汁を外傷や毒虫に刺されたときに用いたり、
花粉症対策として、スギのお茶も飲用されています。
現代ではあまり淋病なんて聞かないかもしれませんが、
一昔前は、白檀(ビャクダン)が入手できない地域では、
治療のために用いる薬剤でした。
花粉症の原因として悪印象を持たれますが、染め人としては
堅牢でピンク、オレンジなどの赤系を染めることができる
大変ありがたい染材でもあります。
何分にも泥藍を作りながらの泥藍染めも始まりましたので、
手が藍で染まってしまうため、ほかの草木染めをする際は、
染め糸が汚れないように十分配慮しなければなりません。
ですから、あまり糸に触れないですむように、煮染めではなく、
浸し染めにしている次第なんですよ。
スギを煮出している合間は、草取りをしてカラカラに乾いたら
夕方、蚊対策のためにも刈り取った草を燃やします。
もちろん、煮出して染液を取った杉の葉も乾いたら燃やして、
灰をたくさん作り、その灰で灰汁を作り、灰汁媒染をします。
燃やした草木により灰の成分も多少違ってきますから、
染めあがりも微妙な変化があり、市販の媒染剤を使用
するようなわけにはいきませんが、これもまた新たな
気づきがあったりでおもいろいところです。
染液に浸しては新たなスギの葉で染め液を作り浸し染めをし、
また、新たなスギの葉で染液を作っては浸し染めをする・・・
これらをスギの緑葉がある限り繰り返し続けます。
最終的に廃液というのは、畑にも安心して流せるものとなります。
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