藍を種から育て藍染めを楽しみ、身近な草木から自然の色を染める。藍や草木染めの染色の基礎を知り・学び、創る喜びを共に。

大麻草の有用性と現状についての再考

大麻草の有用性と現状についての再考

大麻草(麻)とは、縄文時代の昔より日本人衣・食・住など
生活に大変密接に関わってきた植物であるといえます。

また燃料・医療・祭事・神事にも使われ親しまれてきた植物であり、
第二次大戦前はその栽培が国家によって奨励されていました。



かつては、赤ちゃんが生まれる時のへその緒は麻糸で切り、
子供は麻のように丈夫ですくすく育つようにとの親の願い
から麻の葉模様の着物をよく着せたものです。

私も麻の葉の模様は今でも大変好きでして、
麻の葉の絞りの藍染めは数年単位で染めることがあります。

結婚式では夫婦が末永く仲良く幸せであることを願って
夫婦の髪を麻糸で結ぶ儀式も行なわれていました。

日常では、麻の鼻緒で作った下駄を履き、
麻布でできた着物や褌を身に付けていました。

受講者さんの中には、麻の葉模様の着物を
着た記憶がある人もいるのではないでしょうか。

私は麻の葉の赤い着物でした。下駄の鼻緒も赤でしたね。



私の記憶だと、麻の茎の入った土壁は覚えているのですが、
天井はどうだったか覚えてはいないんですが、一昔前までは
麻の茎の入った壁や天井に囲まれた家に住み、麻糸で作った
畳の上で過ごし、夏は麻の蚊帳で寝ていたのです。

現在でも麻の蚊帳を製造販売している所もありますが、
麻の蚊帳、ましてや藍染めの蚊帳となると、特注ということになりますね。

麻の蚊帳生地は販売されていますので、
麻の蚊帳をご自分で染めることができます。



神道においては、大麻は罪穢れを祓うものとされています。
亡父方は神道のため、冠婚葬祭行事などは、すべて神道式で行います。

「祓いに始まり、祓いに終わる」の意味を理解するのに、
大変時間がかかっております。



ちなみに、伊勢神宮のお札のことを「神宮大麻」といい、
大麻とは天照大神の御印とされているそうです。

大麻草は精神的にも物質的にも、生活の中に溶け込んで
利用されていた植物といえます。





大麻や大麻草とは、植物の名前であり、その中に「カンナビノイド」
という薬効成分が含まれており、戦前の日本では、大麻の成分を抽出
した薬が喘息やアレルギーに効く漢方薬として市販されていました。



1970年の世界保健機構(WHO)の報告では、大麻を吸う事で奇形の
発生、衝動的な行動、激しい習慣性はなく、麻薬につきものの禁断
症状なども認められないことが指摘されています。

また、アメリカ国立薬物乱用研究所が、麻薬と嗜好品の比較表を
発表していますが、依存性、禁断性、耐性、切望感、陶酔性などは、
アルコールや珈琲、日本茶のカフェインより少ないことが判明しています。



大麻というと、麻薬(痲薬)と思われがちですが、
本来は単なる植物の名前なのです。



2009年5月、東京都精神医学総合研究所の妹尾栄一氏が、

「薬物依存症で治療を受けている患者のほぼ全員が複数
の薬物の使用歴があり、大麻に由来する症状を特定する
ことができない。

また大麻がアルコールやニコチンと比べてどの程度リスク度の
高いものなのかという明確な仮説を提示することも難しい」

と、発言しています。



医薬品「サティベックス」は、大麻の抽出物を成分としており、
「多発性硬化症」という中枢神経系疾患の治療薬としてイギリス
で承認され、2010年6月21日から販売が開始されました。

開発元のGWファーマシューティカルズの発表によれば、
サティベックスの治験段階では多発性硬化症の患者の約半数
にけいれんの症状の改善が見られたといいます。

2010年7月9日、大塚製薬株式会社とGWファーマシューティカルズ
は、中枢神経疾患およびガン領域におけるカンナビノイドの共同研究
契約を締結しました。



そして、サティベックは現在、米国でがん患者向けの治験の段階
にあり、米食品医薬品局(FDA)の承認が得られる可能性がある
とされています。

確かに植物から有用成分のみを抽出した薬というのは、
必ずと言って副作用がありますが、その副作用の不安が
あったとしても、薬に頼らざるをえない人々が多いと
いうのが現実です。



また、大麻の実にはビタミンやミネラルが豊富に含まれ、
それを絞って取った油には必須脂肪酸であるリノール酸
(オメガ6)とα-リノレン酸(オメガ3)が理想的なバランス
で含まれています。

このように調べてみると、大麻は、健康や美容のための有用植物
であるといえるのです。



戦後の日本において、GHQの占領政策によって大麻取締法が
制定されました。GHQの狙いは麻の産業を抑制し、我が国を
日本を石油製品のマーケットにするためといわれています。

それ以降、我が国では、大麻を利用することが大幅に
制限された次第です。



戦前までは、大麻を「おおあさ」と呼び、「衣」「食」「住」
「医療」など多岐にわたって利用する文化がありました。



大麻は食品として活用できるほか、大麻の油は空気を汚さない
車の燃料にもなり、繊維は耐久性の高い紙や衣類になります。
また、クリーンな建材や、土に還元するバイオプラスチックの
原料にもなるわけです。



循環型社会を形成するために大麻草の利用価値は極めて高く、
生態系にやさしい生活用品をつくることが可能です。

そして、大麻草という植物は成長が非常に早く、南極、北極、
グリーンランドなど極寒の地をを除くあらゆる地域で栽培する
ことが可能なため、無尽蔵な資源であるといえます。

大麻草という植物は、現代社会が抱えている様々な問題を
解決する可能性を秘めているともいえます。

しかし、現状では我が国においては、あまり有効利用なされて
いないのが現状なのではないでしょうか。

大麻草検証委員会というのがあるようですが、これに関しての
論文があるようですので、またの機会に調べてみたいと思います。

大麻取締法と憲法に絡んだ論文のようですから。





今現在でも、大麻が使われている日本文化財があります。

宮城県栗駒町で、人間国宝の千葉あやの氏(故人)のお子さんが、
栽培から大麻布づくり、藍染めまで引き継いでいると思います。

奈良でも奈良晒技術保存会が、手績み(てうみ)大麻糸の麻織物を。
群馬でも岩島麻保存会が、栽培から精麻加工までを。

国指定重要無形民族文化財の「高千穂の夜神楽」、素襖(すおう)と
呼ばれる大麻布の衣装とか。



そういえばわが町にも国指定重要無形民族文化財の神楽がありました。
代々、部落の人のみが伝承していましたが、確か、後を引き継ぐ人が
少なくなり、少しは、寛容になったとようだと聞き及んでいますので、
機会があれば、お話を聞いてみたいと思います。




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