藍を種から育て藍染めを楽しみ、身近な草木から自然の色を染める。藍や草木染めの染色の基礎を知り・学び、創る喜びを共に。

ムラサキ・紫根(しこん)

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ムラサキ・紫根(しこん)



最近は「紫草」が話題となっているようですね。

紫根



紫草は、日本全土の山地や草原に自生していましたが野生の紫草の根を草木染に使うのは難しいかもしれません。 日本の紫根と同じものですが、現在は内蒙古に自生する硬紫根が中国から輸入されています。



生薬名を紫根(しこん)・硬紫根(こうしこん)といいますが、漢方では解熱、解毒薬とされ、肉芽の発生を促すことから軟膏にして外用されるようです。



ひそかに女性に人気の紫雲膏(しうんこう)は、昔から擦り傷、切り傷、火傷や湿疹、水泡などに外用されていますが、なんと痔にもよいようです。 販売されている紫雲膏は、薄く延ばすようにつけないと、着ている服などに色移りすることがありますからご注意してくださいね。

この紫雲膏の処方は、ごま油、当帰、紫根、黄蝋、豚脂だそうです。 匂いに癖がありますが、家庭の常備軟膏としてぜひとも備えておきたい軟膏です。



紫染めは、まず染めるモノを椿灰汁に浸して先媒染します。

椿灰には、アルカリ分のほかにアルミなどの金属を含有していますから、紫根染めの媒染には最適です。 普通の木灰だと、青みが少し強くなるので、アルミ分として酢酸アルミを併用するといいですね。



茜や紫根などの根で染める場合は、色素が吸着しにくいため、灰汁で先媒染したほうがよく染まります。



灰汁下地は、椿灰などの灰汁に、糸を30分漬けった後固く絞ってさばき、そのまま日に干して乾かします。 これを2~3回繰り返し、1週間か10日以上おいた糸を使用します。



紫の根は、0.5%の米酢を入れた酸性の熱湯を加えて手でよく揉みだすか、うすなどでよく搗いて染液をとります。 紫の液が出なくなるまで繰り返し染液を取り出します。

抽出した紫根の染液の中の色素は、酸化して沈殿しやすいので、手早く作業します。 紫根は、70℃を超えると黒く変色するので、絶対に70℃以上にはしないほうがいいですね。

紫根の染液の中に椿灰汁下地(先媒染)した糸を浸し染めします。

椿灰または酢酸アルミ(糸の重量の5%)を湯に溶かし、水に入れて媒染液を作ります。

紫根で染めた糸を媒染剤に浸し、糸を広げるように媒染斑にならないように糸の綛を繰り返しながら20~30分ほど媒染し、残しておいた紫根の染液を60℃に熱し、媒染した染め糸を浸し染めます。

すると、染め液は水のような透明な液になってくるので、そのまま絞って薄く広げて陽に干して中干しします。 これを繰り返して、好みの色に染め重ねます。



あるいは、紫根はアルコールには溶けだしやすいので、消毒用エタノールに紫根を浸し、色素を抽出することができます。 その場合は、不織布などの袋に紫根を入れ、口を結わえて、ボールの中に入れ、エタノールを紫根と同量ほど入れ、なじませ30~1時間ほど放置します。

その後、40~50度くらいの湯を2~3リットルほど加え、よく手で揉みだします。

取り出した染液は、別のボールに入れ、さらに残っている紫根に湯を加えて同じ作業をします。 2回取り出した染液を火にかけ、糸を染めます。



紫根は、熱に弱く、70℃以上になると、色素がこわれます。 染液の腐りやすい夏場を避け、冬に染めて、柔らかい日差しの下で干します。





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